業務用無線機の種類

簡易無線機概要

Q1:アナログとの違いは何ですか?

  1. A1:主に、「周波数の増波」、「登録制度の導入」、「利用範囲の拡大」及び「移動範囲の拡大」の4つです。
  2.   「周波数の増波」:400MHz帯の例では、アナログの33chからデジタルでは65chに増波されました。
  3.   「登録制度の導入」:登録制度を使用する登録局は、免許局と比較し、より簡単な手続きで迅速に開設できます。
  4.   「利用範囲の拡大」:登録局は、従来の利用範囲を拡大し、無線機のレンタルやスカイスポーツ等を含むレジャーにも使用できます。
  5.   「移動範囲の拡大」: 350MHz帯登録局及び400MHz帯デジタル免許局が海上でも使用可能となりました。

デジタル簡易無線の概要表

出典:2021年総務省

無線局の区分 免許局 登録局
割当周波数 154.44375MHz~154.61254MHz 467~467.4MHz 351.2~351.38125MHz 351.16875~351.19375MHz
チャンネル数 19ch+(※)9ch 65ch 30ch 5ch
伝送情報 音声、データ、映像、フアクシミリ
(※9chは音声除く)
音声、データ、映像、フアクシミリ
最大電力 5W 5W 1W
使用できる区域 全国の陸上 全国の陸上及び
日本周辺海域
全国の陸上及び
日本周辺海域
全国の陸上及び
日本周辺海域
並びにそれらの上空
呼び出し名称記憶装置
キャリアセンス 不要
レンタル使用 不可
レジャー使用 不可
不特定の者との通信 不可(免許人所属に限る)

Q2:登録局とはどのようなものですか?

  1. A2:電波法第6条による免許局ではなく、同法第27条の18による「登録局」により迅速に無線局を開設していただける無線局です。
  2.   簡易無線局では、平成20年8月から混信防止機能のキャリアセンスを備え付けたデジタル簡易無線局が「登録局」とされ、無線機のレンタルやスカイスポーツ等を含むレジャーへの使用が可能です。
  3.   詳細は「「デジタル簡易無線(登録局)の申請について」をご覧くさい。

Q3:登録局のうち、5ch分は空中線電力が1Wに制限されていますが何故ですか?

  1. A3:この5ch分は、スカイスポーツ等の上空での使用も可能とするため、1Wに制限しています。
  2.   上空から5Wで電波を発射した場合に周波数を共用する他の無線局に対する影響が大きいと判断されるためです。

Q4:150MHz帯のデジタル簡易無線は?

  1. A4:平成24年12月5日に150MHz帯デジタル簡易無線が導入されました。(Q1:「デジタル簡易無線の概要表」参照。)

Q5:アナログ周波数の使用期限はいつまでですか?

  1. A5:小エリア及び400MHz帯の使用期限は、令和4年11月30日までとなります。アナログ150MHz帯については現在のところ未定です。

Q6:「デュアルモード機」あるいは「デジアナ機」というものがあると聞きましたが、どのようなものですか?

  1. A6:デジタル簡易無線は当面、既存のアナログ簡易無線と併用して使用されることが想定されますので、デジタルとアナログの両方の周波数が組み込まれており、切り替えによりアナログモード、デジタルモードの両方が使用できる無線機のことです。

Q7:無線局のレンタルは可能ですか?

  1. A7:平成20年4月の電波法改正で「無線局の運用の特例制度」を新たに創設し、「混信防止機能」(いわゆるキャリアセンス)が義務化されている登録局についてのみ、「登録人以外の者による運用」(これにレンタルが含まれます)を可能としました。
  2.   免許制度による簡易無線局は引き続き、アナログ及びデジタルともにレンタルはできませんのでご注意ください。
    なお、「登録人以外の者による運用」を行う場合は、登録人は事前と事後に以下の手続きが必要となります
事前手続き 登録人は、あらかじめ、登録人以外の者に対し、「登録状に記載された事項」、「登録局の適正な運用方法」及び「使用者が遵守すべき法及び法に基づく命令並びにこれらに基づく処分の内容」について説明を行わなければなりません。
事後手続き 登録人は、登録人以外の者が運用開始後、遅滞なく、「運用させた登録局の登録番号」、「登録人以外の者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名」、「登録人以外の者による運用の期間」、「無線設備の製造番号」について届け出なければなりません。

Q8:登録人以外の者による登録局の運用期間に制限はありますか?

  1. A8:登録状の有効期間内まで可能です。

Q9:デジタルの簡易無線機で免許局と登録局との見分け方はありますか?

  1. A9:それぞれ種別コードが設定されており、免許局は「B」、登録局「R」、登録局(上空利用)「S」で区別されています。
  2.   また、変調方式により「1から3」が区分されており種別コードと併記されています。
  3.   一般的には「3」の変調方式が利用されることが多いため、免許局は「3B」、登録局は「3R」、登録局(上空利用)は「3S」と無線機や無線機の梱包されている箱に記載されています。

簡易無線種類詳細

電波法施行規則に基づく告示 の各号に基づく種類毎に、 周波数、空中線電力、電波型式による変調方式及び無線設備規則の技術基準並びにこれに基づく電波産業会(略称はARIB、旧称は電波システム開発センターで略称はRCR)策定の標準規格やその他による情報を次の表に示す。 原則として使用できるのは、日本国内の陸上(河川、湖沼その他これらに準ずる水域又は防波堤若しくはこれに準ずる施設の内側の水域を含む。) で海上または上空すなわち船舶(船舶内のみの使用は可)または航空機からの使用はできない。

出典:2021年総務省

周波数帯 周波数 空中線電力 備考
27MHz帯 事実上廃止されているので#廃止を参照。
150MHz帯 154.45MHz~
154.61MHzまで
20kHz間隔の9波
最大5W
  • 周波数変調(FM)(アナログ)方式の音声通信用
  • 送信空中線は水平面内無指向性で地上高30m以下でなければならない。
  • RCR STD-9 150MHz帯簡易無線局の無線設備
  • 一筐体にアナログとデジタルの計37波を搭載できる。
154.44375MHz~
154.61250MHzまで
6.25kHz間隔の28波
最大5W
  • 「デジタル簡易無線」と呼ばれる。
  • デジタル方式の音声通信およびデータや画像伝送に使用できる。
    • 19波が音声通信用、9波がデータ伝送用である。
  • ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備
348MHz帯 348.5625MHz~
348.7750MHzまで
12.5kHz間隔の18波
348.7875MHz
348.8000MHz
最大1W
  • 「新簡易無線」、「小エリア無線」と呼ばれる。
  • FM方式の音声通信に主として使用されているがデータ伝送にも使用できる。
  • 1筐体に18波(通話波)及び348.7875MHz、348.8000MHz(データ伝送波)の計20波を搭載できる。
  • RCR STD-44 小エリア無線通信システムの無線設備
351MHz帯 351.16875MHz~
351.19375MHzまで
6.25kHz間隔の5波
最大1W
  • 「デジタル簡易無線」と呼ばれる。
  • デジタル方式の音声通信用に主として使用されているが、データ信号用装置を付加し、データや画像伝送または中継器に接続し通信範囲を拡大できる。
  • ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備
  • 一筐体に5波すべてを搭載している。
  • 日本国内の陸上及び周辺海上とその上空で使用できる。
351.20000MHz~
351.38125MHzまで
6.25kHz間隔の30波
最大5W
  • 一筐体に30波すべてを搭載している。
  • 上空使用できる5波が受信できる機種もある。
  • 日本国内の陸上及び周辺海上で使用できる。
465MHz帯 465.0375MHz~
465.1500MHzまで
12.5kHz間隔の10波
最大5W
  • アナログ方式の音声通信用
  • 送信空中線は水平面内無指向性で地上高30m以下でなければならない。
  • RCR STD-10 400MHz帯簡易無線局の無線設備
  • 一筐体に三つの周波数帯の計100波を搭載できる。(デュアル機と呼ばれる。)
  • デジタルは日本国内の陸上及び周辺海上で使用できる。
467MHz帯 467.00000MHz~
467.40000MHzまで
6.25kHz間隔の65波
最大5W
  • 「デジタル簡易無線」と呼ばれる。
  • デジタル方式の音声通信用に主として使用されているが、データ信号用装置を付加し、データや画像伝送または中継器に接続し通信範囲を拡大できる。
  • ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備
468MHz帯 468.55MHz~
468.85MHzまで
12.5kHz間隔の25波
最大5W
  • アナログ方式の音声通信用
  • 送信空中線は水平面内無指向性で地上高30m以下でなければならない。
  • RCR STD-10 400MHz帯簡易無線局の無線設備
50GHz帯 50.44GHz~
50.62GHzまで
10MHz間隔の19波
50.94GHz~
51.12GHzまで
10MHz間隔の19波
最大30mW
  • 変調方式の規定はなく、アナログもデジタルも使用できる。
  • 音声通信、データ伝送、画像、動画伝送に使用できる。
  • 送信空中線の絶対利得は45dB以下でなければならない。
  • 主に「パソリンク」(NECネットワークプロダクツの商品名)などにより近距離のデータ、動画伝送に使用される。
  • 降雨時には大きな減衰を受ける。晴天時でも空気中の水蒸気などの気体により減衰するので回線設計にあたっては天候を考慮することが必須となる。晴天時のみであれば10~20km程度の伝送が可能である。
150MHz帯と400MHz帯についての補遺
  • アナログには自動識別装置の、デジタルには呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられている。
  • 400MHz帯デジタルは、免許局・登録局とも日本周辺の海上でも使用できる。これは排他的経済水域(沿岸から200海里)で使用できることを意味するが、船舶局の代用ではなく、海上交通管制には使用できない。
  • 400MHz帯デジタルには、免許局と登録局を一つの筐体に搭載するものがある。
免許局
  • 免許状には「通信の相手方」があり、免許人所属の簡易無線局(異免許人間通信を同意した他の免許人所属の簡易無線局を含む。)としか交信できない。また、「通信事項」も「簡易な事項」とされ、免許人の事業に関する内容が対象である。
  • 主に中小零細な法人・団体の業務連絡に使用される。また、「エリアトーク」(同名の社で開発した商品名)などの自治会向けの同報通信システムにも使われることがある。
登録局
  • 登録状には「通信の相手方」は無く不特定の相手と交信できる。また、「通信事項」も無いので交信内容も自由である。
  • 免許局と同様な用途はもちろん、アマチュア無線に類似した交信もできる。上空使用できるものはスカイスポーツにも利用される。
  • 災害時に、総務省は地方公共団体や災害対策本部の要請により無償貸与する。